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左官【内部】

2015年2月26日

フェロコン仕上げ

フェロコン」仕上げを行いました。
フェロコン?とはABC商会さんというメーカーの商品で、床用の仕上げ材のことになります。

建設業者の方ですと、「カラクリート」というほうがなじみがあるかもしれません。

この材料は、倉庫や工場のなどに使用します。通常のコンクリートよりも、耐摩耗性耐久性が高くなることから、この上にフォークリフトなどが動き回っても、床を傷めません。また、「」を付けることができるので、住宅の玄関床や、ガレージの床などでもちょっとおしゃれに使用することもあります。

工事施工方法は写真のようになります。
1.一般的は生コン車から運んできたコンクリートを打設。
2.すこし固まってきたら(人が乗れる程度)「フェロコン」の粉を均一に撒く。
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3.プロペラという機械を回してさらに均一に、そしてコンクリートとしっかりなじませる。
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4.最後に金鏝で左官職人さんが押える。
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というかんじです。この材料、実は60年以上も実績があるとか!?
2011年5月25日

ジョリパット ファンタジーブリック仕上

ジョリパットの仕上げを行いました。模様は「ファンタジーブリック」そのまま和訳すると、「幻想的なレンガ模様」という意味合いでしょうか?
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この模様はどのように出しているかというと、

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このようなローラーをコロコロと転がしていきます。

塗り付けは鏝で施工するのですが、その厚さが均等でないと模様の凹凸感も違ってきますので、意外と難しいんですよ!おすまし
2009年5月30日

左官材料と自然素材

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左官の材料というと、「セメント」、「」、「ワラ」、「」、「」、「石灰」などの自然素材をすぐに思いつく方も多いのではないかと思いますが、実は、有機化学物質(ここでは樹脂と呼びます。)も左官材料には多く使用されています。

たとえば、「アクリル系」,「カチオン系」,「エポキシ系」,「ウレタン系」,「酢酸ビニル系」,何系か分かりませんが「合成エマルション」と呼ばれるものも、樹脂の仲間になります。

樹脂のメリットは「固さの調整ができる」「弾性になる」「安価」「作業性がよい」などの機能があり、とても便利なものです。

スーパーの買い物かごが代わりにビニール袋になり、ジュースのビン、缶の代わりにペットボトルになり、ガラスの代わりにアクリルポリカーボネートになったように、樹脂は非常に便利なものなのです。

従って、左官材料も樹脂と上手に付き合っていく必要があります。

例えば、コンクリートの上にモルタルを塗るとき、接着剤と呼ばれるシーラー(例えばハイフレックスなど)を塗ったり、住宅の外壁によく塗られるアクリル系の材料(例えばジョリパット)のように、機能面や経済性の面で必要に応じて使用していくべきだと思います。

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ところで、「安全性」ということについてはどうなんでしょうはてな
いまいち、どの樹脂が人には安全かということがよく分かりません。
悪いものとして分かっているもの(例えばホルムアルデヒド)もありますが、分かっていないもの多いはずです。

けれど「樹脂はなんとなく体によくないのでは?」という気はします。

例えば、樹脂の空間と土の空間が2つあったとして、この中に虫や花などを入れておくと、きっと土の空間のほうが長生きするような気がします花

左官は自然素材だけ扱って仕事をすることも出来ます。
もし、人が生活する部屋(内部空間)を自然素材にこだわってみたらきっと体に良いはずです。

壁は柱よりも面積がずっと大きいんですから、もっと壁にこだわりを持って良いのだと思います。

そして、そんな自然素材の壁を我々左官屋がもっと提案していくべきだと思います。

以上、左官屋の独り言でした。。。

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2008年12月25日

何がオススメ?

お施主さまからよくある質問ですicon22

あしあと黒「一般の住宅の部屋内で塗る壁でオススメはなんでしょうか?」

それは以下のように「優先順位」を明確にするとよいと思いますicon01

<1.価格>
価格は大事ですよね。安い方がよいのであれば、左官は「ビニールクロス」にはかないません。。。

どうしても「塗り壁」にしたいのであれば「樹脂入りの左官材料」が比較的安価です。

 ※ここでいう樹脂とは石油製品のことを指し「アクリル○○○○」とか「合成樹脂エマルジョン」などど書かれていることが多いので分かると思います。  

ですが、考え方ですが、そもそもビニールクロスは石油製品ですので、あえて樹脂入りの左官材料を使用しなくてもと言う考えもあります…。

<2.機能性>
自然素材の左官材料のメリットは「調湿性」「吸臭性」「防火・不燃」です。
珪藻土」が一般的に知られるようになったのは、シックハウス症候群が増え、自然素材のよさが見直されるようになったことが背景にあります。。。

昔のように土壁で施工するのが最も良いのですが、価格、工期、重量の面でデメリットもあり、現在は自然素材を薄塗り(2㎜程度)で施工することが多くなっています。。。

<3.弾性>
弾性」とは伸び縮みするという意味です。あとあとのメンテナンスが少ないように、亀裂が入らないような材料で塗りたいという希望があるときは、やはり樹脂系の材料を選ばれるとよいと思います。石油製品のビニールクロスが亀裂が少ないように、樹脂系の材料は弾性タイプなのです。

<4.風合い>
一定の品質を希望したり、バリエーションの多さでは「ビニールクロス」です。でも、左官職人が塗った壁はどこか手のぬくもりや暖かみがあり、その自然な感じや風合いを求められる方はやっぱり塗り壁です。

<5.価値>
左官の壁でも、いろいろな壁の種類があります。「天然の色土を使用した壁」、「磨きの光る壁」、「糊を使用しない壁」。いわゆる「昔ながらの伝統的な壁」で、それなりの鏝や高い技術が必要になります。非常に価値のある仕上げです。
  
<6.安全性>
危険な材料があるのか?ということにもなりますが、正直よく分かりません。。。
最近ほとんどの内装材「F☆☆☆☆」(Fフォースター)というマークを見かけます。
これは、シックハウス症候群の原因の一つではないかと考えられてい「ホルムアルデヒド」という化学物質の放散量を区分するためのものです。ですので、このマークが付いていればとりあえずホルムアルデヒドは少ないので安心です。

では、その他の樹脂は内装材でも使用しても良いの??
ということですが、現在何万種類も存在する化学物質のほとんどが、どのくらい人体に影響があるのかは分かっていないそうですので、よく分かりません。。。icon07
だったら、化学物質や樹脂の入っていない材料、つまり自然素材の材料を使用した方が安全性が高いといえるのだと思います。


筆ということで、長くなってしまいましたが、まとめると、優先順位を付けて、「樹脂系の材料」又は「自然素材の材料」を決め、「樹脂系」であれば、種類は豊富ですので決めやすいと思います。
自然素材系」であれば、「漆喰」「珪藻土(粘土系,石灰系)」「土系)」になります。

それぞれ一長一短があります。どれも100%ではないので難しいですね。。icon01

左官職人的には「温故知新」のように、昔から受け継いできた伝統的な工法を活かしながら、少し新たなアイデアを加えた壁を常に塗りたいと思っています。つまりそんな壁は、技術が必要になりますし、職人魂に火が付き、思い入れも深くなり、当然良い壁ができます。

もし、左官職人に壁を塗ってもらう機会がありましたら、こう聞いてみるのもいいかもしれません。

左官屋さん!どんな壁を塗ってみたいですかぁ!?icon01


2008年9月20日

左官壁の機能について4

漆喰」と「珪藻土」でどちらが機能が上か?がよく分からない理由です。
(今回は文章長いですよ~。興味のある方は頑張って読んで下さいねicon33

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理由はいくつかありますが、主な要因は、「同じ条件での実験データがないため」icon08です。


どういうことかというと、珪藻土のメーカーの多くは、「吸湿性能のデータ」を公表しています。

 
調湿のデータを出す実験の方法としては、

例えば
A「温度25℃、湿度90%の時には1㎡当たり何グラム湿気を吸っているか?」
と、
B「温度25℃、湿度50%の時には1㎡当たり何グラム湿気を吸っているか?」
の2つを実験して、その差(A-B)を「吸湿性能」とか「吸放湿特性値」などといってデータを出しています。

 
おおよそですが、湿度70%以上の時は湿気を吸います。(逆に、湿度70%以下の時は湿気を吐きます)

つまり、Aで70g/㎡でBで20g/㎡だとしたら吸湿性能は50g/㎡ということになりますicon01

これが基本です。
ところが、各メーカーのデータを見てみると、
・温度設定が違う。(例えば24℃などで実験をしている)
・湿度設定が違う。(例えば45%などで実験をしている)
・「温度23℃±2℃、湿度90%±5%」などと±の誤差を表示している。
・単純に湿気を吸ったときの(Aだけの)データを出している。
・そもそも、このような実験結果を公表していない。

というように、統一されていません。

湿度や温度が違えば当然、吸放湿のデータも違ってきますicon10
その他にも分からないことがあります。

<珪藻土編>
・産地別で珪藻土そのものの実験値だけ出している。
・珪藻土を「焼いた」ものと「焼かない」もので性能の差があるそうですが・・・?
・珪藻土自体は水で練ってから乾かしても固まりません(自固性がありません)ので、他の媒体(固化剤)を混入します。例えば「石灰」「石こう」「粘土」「セメント」「樹脂(エマルジョン?)」などです。

 
ではどの固化剤が一番良いのか?
 

・樹脂が入ると機能が落ちるといわれているが、どのような割合を入れると機能が落ちていくのか?
・そもそも珪藻土は何%含まれているのか?

<漆喰編>(漆喰は「消石灰」+「糊」+「スサ」で構成されています。)
・消石灰と石灰クリームではどちらが機能が上か?
・消石灰でも「塩焼き」「俵灰」などの種類があるが機能の差は?
・糊が入ると機能が落ちるのか?
・糊が入らない「土佐漆喰」は機能は高いのか?
・糊の種類(ぎんなん草、つのまた、メトローズ(?))などの混入によって機能の差は?
・年数が経過すると、機能は変化する?
・「既調合の漆喰」と「自分で配合した漆喰」では機能の差は?


・・・そんなことを考えていると、一概に「珪藻土」とか「漆喰」とか言っても、とにもかくにもいろんな種類があるので、(素材そのものでの比較ができないので)どっちが機能が上かなんてやっぱり分からないのです。。。

でも、すべてデータを出す必要があるとも思いませんicon08
左官の壁はその日の温湿度によって塗る材料の配合を変えるものです。
機能ばっかり気にしていたら、塗れなくなってしまいます。

それに、人間がが感じるの不快指数も温湿度によってばらつきがありますし、その人によって感じ方も違います。

分かりやすくいえば、「ラーメン」icon11
ラーメンは、色々な種類がありますし、いろいろな素材が入っています。そして、それがどのような配合になっているかは企業秘密ですし、ラーメン屋さんのおやっさんは自分の店が一番おいしいと思っていますし、ラーメンの好みはみんな違います。

珪藻土が登場して、左官壁が持つ機能に注目されるようになりました。
ある程度のデータは必要かも知れませんが、(悪質な偽装した材料でないかぎりicon09
「この壁を塗ってじめじめしなくなったし、臭いもしないし、色も風合いも良くて・・・icon02」なんて人の感性で喜んでいただけるのが、左官の壁の良いところなのではないでしょうか?icon37




2008年9月19日

左官壁の機能について3

機能」の良し悪しがよく分からないということはどういうことでしょうか?

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左官壁の「調湿」の機能が必要な場所は主に内部になりますので、内部の仕上げ材で機能を持つ左官材料を比較したいと思います。

内部の材料には、
・土(聚楽土、引きずり、切り返し、糊土など)
・珪藻土(粘土系、石灰系、石こう系、セメント系、樹脂系)
・漆喰
の3種類くらいに分類できます。(厳密にいうと他にもありますが、今回はこの辺で・・・。)

また、今回は仕上材の機能の比較で考えます。
そうすると、土(聚楽土、引きずり、切り返し、糊土など)の仕上げは、下地に荒壁や中塗り土を塗るという土を厚く塗らないと出来ない工法ですので、今回これも例外とします。(ちなみに土が厚いほど機能が高くなりますので、下地を荒壁にした工法が一番良いのは間違いありません。)

さて、前置きが長くなりました。。。

残りは、「珪藻土」と「漆喰」です。
良く聞かれる質問ですが、「珪藻土」と「漆喰」はどちらが「機能(調湿)」が高いのでしょうか?
答えは、やっぱり分かりませんicon08
理由は・・・。

つづく。

2008年9月18日

左官壁の機能について2

それでは、左官の壁はどんな「機能」を持っているのでしょうか?

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機能といっても、「調湿」「臭吸」「断熱」「不燃」「防音」など様々ですが、今回は最も優れた機能と言われている「調湿」について見てみます。

調湿」とは、湿度を調整するということで、湿気を吸ったり吐いたりします。

土にはもともとその機能が備わっていて、湿度が高いとき、空中にある水蒸気を土が液体に変えて保管し、湿気が低くなったときは、土中の液体を水蒸気にして吐き出す。という繰り返し作業をしているそうですicon08

詳しいしくみは分かりませんが、「」や「珪藻土」には無数の小さい穴があいていて、その穴が機能を作ってくれます。(台所にあるスポンジは小さい穴があいていて水を吸いますが、そんようなことのようなものでしょうか?)

ということは、当然昔の土で作った壁(荒壁)は厚みがあって、湿気もたくさんストックできますので、よく「塗り厚があるほうが機能が高い」というのはそのためなのです。

では、左官のどの材料が機能的に優れているのでしょうか??
これは正直よく分かりません・・・。分からないのです・・・icon20

つづく。

2008年9月17日

左官壁の機能について1

左官の壁の「機能」について考えてみたいと思います。

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珪藻土(けいそうど)」という左官材料が登場してから、十数年経ちますが、「どうやら左官壁は体に良い機能を持っている・・・。」ということが周知されたように思います。

機能とは主に「調湿機能」のことで、湿気や臭いを吸放出したりする機能のことですicon02

シックハウスの問題が起こるまでは、ほとんどの壁が「ビニールクロス」だったわけで・・・、機能のことや化学物質をについてあまり気にしていなかった反動が、この「珪藻土」を爆発的に有名にさせたことにもつながっているのだと思います。

ところで、少しさかのぼって、壁の素材を考えてみると、ビニールクロスが登場する前は、当然石油製品がなかった時代ですので、樹脂系の塗料もありませんでした。
木やコンクリート、ガラスなどの特殊な壁を除けば、やはり昔は「左官の塗り壁」しかなかったことが容易に想像がつきます。

ということは、その当時「左官の塗り壁」しかなく、自然素材が当たり前のように塗られていたわけですから、体に悪い物質が混入されているはずもなく、きっと(調湿)機能のことは気にもとめてなかったはずです。

・・・つづく。

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